明治時代、角兵衛獅子の故郷・月潟から和菓子屋として創業した扇弥商店。それから120年前くらいに味噌・醤油へ変え、現在に至ります。そして昔の屋号は「扇屋」。後年、その名前ではありふれているというところから、大正時代以降に「扇弥」へ変更したそうです。
100年近く使い込んでいる蔵と杉桶。杉桶の「たが」は、壊れたらもう直せる職人がいないので、大切に大切に使っていらっしゃるとのこと。担当の近藤一実さんは桶で作る重要性をこう語ります。「桶でなくても味噌は作れますが、木独自の味噌の味は出せません。木も生き物ですから、菌も住みやすいというところからだと思うんですよね。正直、味に響いてくるかと言われれば、数値としては出せませんが。(笑)」
扇弥商店の量り売りの味噌は無添加。ご来店頂いたお客様には、ご希望のグラム数で販売しています。無添加で加熱処理を行なっていないので、体にいい麹菌がそのまま元気に残っています。つまり生味噌。老舗の味噌屋として昔ながらの製法や味を守りつつ、一味変わった味噌作りにも挑戦されています。
そのひとつが『長期熟成・秘蔵』。四年半寝かせた味噌で色は濃く、味は塩の「かど」がとれてまろやか。長野県からラーメン屋さんがスープ用に買いに来られるそうです。このように若い方からは「新しい」とお求めになる方がいらっしゃいますが、反対に年配のお客様からは「懐かしい」とのお声も頂くとのこと。昔は自宅で味噌を作っていましたので、味噌の終わりごろにはこのような色や味になったそうです。
その他には「糀を三倍入れている味噌・角兵衛」も。誕生のきっかけは、お客様から「糀が多めの甘口味噌を作って欲しい」とリクエストがあったところから作られたそうです。通常の三倍…ふつうは豆のほうが多いのですが、この味噌は糀のほうが多くなります。また、糀が多いせいか、これを飲んだお客様は「肌がつやつやする」とも。
今はもろみを買って絞るだけのところもあるらしいですが、大豆、塩、小麦…扇弥商店では原料から作っています。杉の樽に原料を仕込み、土蔵の中で二年間じっくり天然熟成させて作らせた本格派の手作り醤油です。百年前と同じ醸造方法を用いて製造しているので独自の風味が醸し出され、大手の醤油メーカーにはない、手作りの良さを活かした醤油に仕上がっています。
今回取材に応じて下さった近藤一実さん。実は27歳の時にお婿さんとして扇弥商店に来られたそうです。最初は全く業種の違う環境にとまどったそうですが、これからも品質重視で手造りにこだわっていきたいと、語られていました。また、扇弥商店のWEBサイトも制作されている近藤さん。お婿さんについてのページも設けており、全国各地の婿に関するメール相談も受けていらっしゃいます。このようにお客様とのコミュニケーションも大切にされている扇弥商店。その心遣いが、この蔵で作られる味噌や醤油にも、美味しさとして現れていらっしゃいます。
所在地 | 新潟市南区月潟1524番地 |
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TEL | 025-375-2002 |
FAX | 025-375-2533 |
代表者 | 近藤 茂 |
営業時間 | 午前 8時30分 ~ 午後7時 |
定休日 | 不定休(基本的に年中無休) |
自社WEBサイト | http://www.ougiyamiso.co.jp/ |
販売商品 | 味噌、醤油、味噌漬け |
店舗での商品購入 | 可能 |
蔵見学 | 不可 |