岩船酢の松田商店は、初代・松田権四郎さんが正徳三年、約300年前に創業。創業時は酒造業と30石船を持つ廻船問屋を営んでいらっしゃいました。「岩船酢」の名称は、出荷する際の容器に「岩船酢屋」と焼印されていた為、いつの間にか岩船酢と呼ばれるようになり、昭和22年以降は「岩船酢」を商標とされたそうです。
岩船酢が売っている松田商店を訪ねると、「岩船酢」「松田カメラ」と二つの看板が出迎えてくれます。なんでも、8代目のご主人のカメラ好きが高じ、お店を出すまでになられたのだとか。
酒造業からなぜ酢を作るようになったのか?それは、松田家に伝わる素敵な逸話があります。ある年、酒の仕込みに失敗し腐敗させてしまった当主が「困った。1年分の酒がダメになった。 これでは破産だ。」と、眠れない日が続いたある夜。いつのまにかウトウトしていると、弁天様が夢枕にお立ちにり「酢にしなさい。おいしい酢になりますよ。」と告げらたそうです。あぁ、ありがたい。そうか、酢になるかも」と、早速酢に変える作業に取り掛かったそうです。臭気をとりのぞくことには苦心しましたが、努力の甲斐あっておいしい酢に変えることに成功。「岩船酢屋の弁天酢」と命名し売り出し、地元はもとより廻船によって、酒田・北海道・樺太まで出荷していたそうです。
明治時代、政府が殖産興業政策の一環として開催した内国勧業博覧会。「内実業の大発展をはかり、外貿易の大伸長に努め、国富の充実を期する戦後経営の第一義たる」との主旨に応えた5代目・6代目権四郎さんは、岩船酢を出品し、数々の受賞を果たされたそうです。その中でも最高のものは、明治36年第5回内国勧業博覧会の表彰。賞状には「総裁戴仁親王 審査総長 大鳥圭介」の名があるとのこと。岩船酢は、いたずらに年月を重ねてきたのではなく、このように切磋琢磨することで作られてきた酢なのです。
取材に応じてくださった9代目の奥様は語られます。 「岩船酢は、コダワリの達人が眉間にしわ寄せて作ったものではありません。先代から受け継いだものを愚直なまでに踏襲している、ただそれだけです。 しかし当たり前の話ですが、300年の歴史を作るには300年の時間を費やす以外に方法はありません。『300年、地元で愛され続けた…』それが、わたしたちの誇りです。 」
所在地 | 新潟県村上市岩船上大町2-4 |
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TEL | 0254-56-7652 |
FAX | 0254-56-8025 |
代表者 | 松田尚之 |
営業時間 | 午前 9時 ~ 午後5時 |
定休日 | 土・日・祝日 |
自社WEBサイト | http://iwafune-su.com |
販売商品 | 酢 |
店舗での商品購入 | 可能 |
蔵見学 | 不可 |