村上の名物「塩引鮭」を200年にわたってつくり続けてきた越後村上うおや。歴史ある鮭の加工業者です。同地には鮭の加工業者が十数社ありますが、同社が魚屋としては一番の老舗だという。 初代上村助五郎から数えて、現在は9代目の上村隆史さんが、若女将と二人三脚で営んでいます。
越後村上うおやの塩引鮭は、代々受け継がれてきた方法で作ります。鮭の内臓を取り除き、よく洗い塩漬けにする。1週間寝かせた後、水洗いして塩抜きを行い、条件が整った11月から1週間程干す。おいしくつくるには干し方が重要で、干す場所を何度か変えたり、できるだけ冷たい風を当てるために朝4~6時の間に行うようにしていらっしゃいます。そうやって、寒暖の差がある風にさらすことで、鮭のうま昧を引き出すとのこと。一時は、あまりに手間や時間がかかるため、乾燥機を使って手早く仕上げることも考えたそうですが、それでは代々守ってきた味は出せないと、あくまでも昔ながらの自然乾燥で作られています。
「おいしいものはよい原料からしかできない」との考えの下、日本海で獲れた脂が乗った鮭しか使わないとのこと。「代々の当主が品質にこだわりながら、 さらにお客さまの要求に丁寧に応えてきたから、現在まで続けてくることができたのだと思います。一人一人の 好みに応じた商品を提供するように気をつけています。たとえば鮭の塩引きひとつ取っても、塩辛さの味付けから鮭の乾燥のさせ方、そして切り身にする場合の厚みと、好みが異なります。注文を聞いて作業しますが、追加料金なとは一切かかりません。そして一度ご注文頂いたたお客様の好みは記録に、次からすぐに反映できるようにしています」そのような対応を続けてきたおかげで、何代にもわたって付き合いを続けてくれるお客が少なくないそうです。
越後村上うおやの鮭の飯寿司は本当に丁寧に作っています。鮭の飯寿司とは、村上に伝わる伝統料理。村上地方のお正月の味として古くから親しまれてきたふるさとの逸品です。鮭の薄切りと数の子、にんじん,大根、はらこ、氷頭、ゆずを糀で仕込んだ自然食品です。飯寿司の糀は地酒の蔵元と試行錯誤の上、うおやのごはんと合う糀を2~3年かけて作りあげられたそうです。ご飯の寝せ具合は、少し間違えると甘酒になってしまう為、誰にも任せずに女将自身が作ります。また、この鮭の飯寿司は、雑誌・BRUTUS(ブルータス)にて「お取り寄せ日本一」に選ばれたそうです。
城から武家社会、武家社会から町屋へと、調理法などが伝わったとされる村上。女将さんは語ります。「お殿様やお姫さんたちが食べていた味を長く味わってきた村上の町人は、食文化のレベルが高いんです。いい加減なものだと誰も食べてくれません。舌が肥えた人々を納得させるものを作る事が、常に求められていました。」
このように、材料や味にこだわってきたうおやには、舌の肥えた著名人たちにも大変愛されています。編集者、作家、エッセイストである嵐山光三郎さんも越後村上うおやのファンのひとり。ふらっとうおやに立ち寄った嵐山さんに、その人だとは気付かないままの女将が、いつも通りにはらこの試食をお勧めしたことがきっかけだとか。「村上に行ったら、どうしても行かなきゃいけない店がある。鮮魚店のうおやである…冬にははらこが出てこれがべらぼうにうまい。」と紹介された自慢の特製はらこは、二種類の醤油をブレンドして作った、うおやだけの味です。
今は息子さんである社長に殆どを任せている女将。けれども、味だけは絶対に変えられないと、スタッフが作ったもののチェックは欠かさないとのこと。スタッフも、女将の指示通りにすっと味を直されるそうです。「スーパーと同じものを作っていてはダメ。うちの味がいい、と喜ばれるお客様の為。その意味を皆、しっかり理解している所以。また、従業員が長く勤めてくれることが、本当に有難い。」と、女将は誇らしげに語られます。長年培われたチームワークが、越後村上うおやの味を作っている秘訣のひとつなのでしょう。
所在地 | 新潟県村上市大町4-3 |
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TEL | 0254-52-3056 |
FAX | 0254-53-6500 |
代表者 | 上村隆史 |
営業時間 | 午前9時~午後5時 |
定休日 | 不定休 |
自社WEBサイト | http://www.uoya.co.jp/ |
販売商品 | 鮭加工品 |
店舗での商品購入 | 可能(お食事処あり) |
蔵見学 | 可能 鮭こうば見学(11月~3月) |