製造蔵リスト

室町時代から続く野沢家

越後酒の移出増大という背景の中、野沢家は天保七年(1836年)に「酒株」を購入し、借金で設備一式と原材料の買い入れを一気に行い、酒造りを始めたそうです。そして翌年には出荷を始め、製造した酒は北前船により、箱館や蝦夷地へ運ばれ、高額で取引されたそうです。幕末から明治初期になると、北前船との取引関係を維持しながら、自ら船主・廻船商人となって、主に自家製造の酒と越後米、庄内米を松前・北海道へ輸送・販売し、北海道産物を積帰り周辺地域に売り捌くという商業経営を始めています。野沢家の北海道交易は、汽船の発達で北前船が衰えてもなお、酒造業と廻船業を軸に維持されていました。その後、廻船業は羽越本線の開通を契機として大正期に廃され、酒造業も第二次大戦下の統制経済のもとで昭和19年(1944年)に廃業を余儀なくされたとのこと。酒造業をやめるとすぐに味噌の製造に着手し、昭和27年頃からは醤油の製造を始め、それ以来、味噌・醤油の製造・販売を続けています。

古き良きを守りながら、新しさも取り入れる柔軟さ

一般的な機械生産されている醤油では、原材料に使われる「大豆」は、「脱脂加工大豆」を使っています。野沢食品工業では長年、全量を手作りで、しかも、木桶で熟成して丁寧に作っていましたが、さらに「色、香り、味」を追求する姿勢は変わらずに持ち続けられたそうです。そして、新しい麹菌の採用や、原材料の吟味を続けた結果、「脱脂加工大豆」を捨てて、全量「丸大豆」を原料とすることに改めたとのこと。丸大豆の油は、重量の20%もあります。この油が醸造過程では、醤油が酸化で黒くなるのを防ぐ役割を果たしてくれます。そして、アミノ酸と糖分でメイラード反応が起き、ワインのような赤味がかった色合いの、透明感のある醤油になっていくとのこと。
※メイラード反応とは、還元糖とアミノ化合物(アミノ酸、ペプチド及びタンパク質)を加熱したときなどに見られる、褐色物質(メラノイジン)を生み出す反応のこと。褐変反応とも呼ばれる。

「アスペルギルスソーヤ菌」

醤油は蒸した「大豆」と炒って砕いた「小麦」を混ぜ合わせ、大豆と小麦の成分を分解して醤油の味や香りを生む種麹を加えます。野沢食品工業では、小麦を炒って砕くところから作ります。(写真左の機械で作ります。) このように全て一から作っています。そして、種麹には一般的に「アスペルギルスオリゼー菌」という菌を使っているところが多いそうですが、野沢食品工業では、平成に入り、種麹屋さんから、新しい麹菌を紹介され「アスペルギルスソーヤ菌」を使うようになりました。(ソーヤとは醤油の意)それ以来、15年ずっとこのアスペルギルスソーヤ菌を使っているそうです。この「アスペルギルスソーヤ菌」を使った醤油は、ワインのように赤い醤油になるそうです。香りも、ソーヤ菌の醤油はとてもまろやかな香りになるとのこと。

※「アスペルギルス・ソーヤ」は「アスペルギルス・オリゼ」と比べるとタンパク質を分解する能力が高く、しょうゆ・味噌など大豆を原料とする醸造食品の製造に主に利用されている麹菌です。タンパク質は分解されるとアミノ酸やペプチドになります。アミノ酸は食品の味を作る成分のひとつで、おいしさの源となる成分です。最近では健康、美容、医療などの分野へもアミノ酸の利用範囲が広がっています。またペプチドには血圧上昇抑制作用、抗酸化作用、抗菌作用などを持つものがあり、現在、盛んに研究が行われています。

微生物…生き物が相手。気は抜けない。

最後に社長は語ります。「微生物…生き物が相手ですからね。とても奥深くて難しい。状態を見ながらいろいろ変えて行かなくてはならないので、とても機械では管理出来ない。だけど、いい状態で美味しくなってくれたときは本当に喜びもひとしおですね。」

所在地 新潟県村上市塩谷1227
TEL 0254-66-5507
FAX 0254-66-8807
代表者 野澤 道雄
営業時間 午前9時 ~ 午後5時
定休日 土・日・祝日
自社WEBサイト http://www.nozawa-shokuhin.co.jp/
販売商品 醤油、味噌
店舗での商品購入 可能
蔵見学 要相談(5日前までに連絡にて可能)
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