製造蔵リスト

越後村松藩(現在の五泉市)に創業して190年

文政7年、越後村松藩(現在の五泉市)に創業して190年、地元に愛される酒を信条に、地道に丁寧に酒造りを行ってきた金鵄盃酒造。代表銘柄は「越後杜氏(えちごとうじ)」 総じて味のきれいな、さっぱりとした飲み口「淡麗辛口」。数値的には辛口でも、いかにもピリッとした味ではなく、キレの中に旨みがふくらむ味わい。派手さや奇抜さを追求するのではなく、「味わいがありながら、すっきりと飲みやすい」安心・安定の味わいが信条。全国新酒鑑評会の金賞受賞歴は、過去10年で7回の受賞と、県内でもトップクラスの成績を収めていらっしゃいます。 「金鵄盃(きんしはい)」の名の由来は、昭和17年、村松に置かれていた陸軍歩兵第三十連隊の土橋大佐から頂いた「金鵄盃」の名を銘柄にしたことが始まり。「金鵄」は神武天皇がその光で戦わずして敵を倒した伝説が残る平和の象徴でもあることから名付けられました。

霊峰白山の伏流水「天狗の清水(しみず)」

地元の霊峰白山(五泉市)を水源とする伏流水「天狗の清水(みず)」を全量使用していらっしゃいます。それは、割水(原酒に水を加えてアルコール分におとすことをいう。加水と同じ意義。)だけにではなく、仕込み作業、洗瓶や使用する器具などの洗浄にも使用していらっしゃいます。一般の水道水の基準よりもはるかに厳しい‘酒造りの水’に適した条件を備えた軟水。この井戸の水は、村松のお殿様が使っていた井戸と同じ水だそうです。「天狗の清水」の名の由来は、水源である霊峰白山にある禅寺・慈光寺周辺に数多くのこる天狗の伝説から。 天狗の清水の水脈も、この天狗が引いてきたとの逸話も。また、白山は修験者の山であった為、その険しい自然によって水源が守られていたようです。

阿部杜氏が目指す「飲む人が疲れないお酒」

平成24年、新潟県が認定する卓越技能者「にいがたの名工」の称号を受けた阿部昇杜氏は、この道55年のベテランです。現代技術の良い部分を取り入れていますが、データのみに頼らず、昔ながらの利に適った行程も大切にしながら「醪の声を聞く」気持ちで酒造りを進めていらっしゃいます。

飲む人が疲れない、ストレスを感じさせないお酒。すいすいと飲める、食事やおしゃべりをしながら片手間に飲めるお酒。杜氏はそんなお酒を目指して造られています。 そのお酒を造る為に…その秘訣は、多量の天狗の清水と「総ハゼ麹」にあります。 通常、すっきりとしたキレ味のあるお酒を造るには「突きハゼ麹」が向いていますが、阿部杜氏はあえて、味のあるどっしりとしたお酒に向いている「総ハゼ麹」を使います。それはもろみで水を追加する際、通常では考えられないくらいの多量の水を加えます。その際、突きハゼ麹では薄っぺらい味になってしまいますが、この多量の天狗の清水と総ハゼ麹で、金鵄盃酒造が目指す味に仕上がるのでしょう。

蔵人全員が酒造国家検定一級技能士の資格を有す

「道具の洗浄や掃除など、基礎的な作業こそ最終の製品の違いとなってあらわれる」の精神のもと、和をもって酒造りを行っている阿部杜氏と蔵人たち。また、蔵人全員が酒造国家検定一級技能士の資格を有し、お互いに切磋琢磨されています。この資格は経営者が薦めたわけではなく、蔵人が望んで取得されたそうです。このように蔵人全員がこだわりを持って酒造りに挑んでいらっしゃいます。それは、杜氏を始め蔵人自らが「こういう器具を使えばもっといいお酒が造れる」「こういったシフトにすればベストな酒造りが出来る」と自覚し動いている、その行動に表れています。

また、掃き掃除などは下っ端の仕事…とされるのは、酒蔵に限らず、どこでも一般的ですが、金鵄盃酒造の蔵人たちは違います。昔であれば「頭」と呼ばれたチームリーダーが率先して掃除を行うそうです。「これこそが、美味い酒造りの為の疎かにしてはならない基本。」そうリーダー自らが背中で教えられています。

飲んでいて気持ちの良いお酒を造っていくこと

茂野卓子常務「新潟県は清酒王国と言われ、近年行われているイベント・酒の陣でも、県内外から20~40代の方が多くいらっしゃいます。若い方の日本酒離れと言われていますが、それは飲んでみたいけれど手が出せない、どう飲んでいいかわからないなど、難しさやきっかけのなさが原因ではないかと。金鵄盃酒造としての姿勢は、変わらない、安心・安定した味を作っていくこと。飲んでいて気持ちの良いお酒を造っていくことです。その姿勢は保ちつつも、若い方にも受け入れて頂くことも考えています。まずは日本酒の概念を覆すことも大切ではないかと。当蔵では雪影という銘柄を10年前くらいからアメリカに輸出しています。このお酒は少し酸味があり、高級ワインを置いているお店などで取り扱って頂いております。 こうしたアイテムを切っ掛けに日本酒に触れていただき、日本酒は飲ん兵衛さんだけが飲む閉じたお酒ではなく、ワイングラスで飲んだり、パスタなどのイタリアンに合わせたりなど、開かれたお酒だということを発信して参りたいです。」

型にはめず、もっと日本酒の面白さを知ってほしい

茂野紘一会長「少子高齢化社会が到来し、年々アルコール飲料も消費の落ち込みが進んでいます。日本酒の世界もその影響を免れえず、わずかなパイの中でお客様を取り合っている状況です。 反面、最近になって新たな現象がおこっています。2,30代の女性や若者を中心とした、食にこだわりをもつ人たちの中で、日本酒に興味をもってくださる人が少し増えてきたことです。「酔えば良い」という飲み方ではなく、彼らなりのこだわりをもって、生活に取り入れていただいていると聞き、非常に頼もしく喜ばしく感じています。 ただ、中に聞こえてくるのが、「純米でなければ日本酒ではない」「吟醸しか飲まない」といった、一種の頭でっかちな考え方です。もちろん、その人が数多くの銘柄にふれ、いろいろなシーンで飲んでみた結果が、そのような持論として残ったのであれば否定はしないのですが、どうも誰かの受け売りや一部の論調に流されて、たくさんの素晴らしい商品との出会いの機会を失っているように思えてなりません。 弊社にも、純米酒をはじめ本醸造や吟醸酒、淡麗なもの味のあるものと、いろいろなタイプの酒が揃っています。それぞれに合う料理も違いますし、使う器や温度によっても味わいは変化します。体調によっても、さらに一緒に飲むお相手が違っていても味わいが変わったりするのが、日本酒のおもしろいところです。 なにも難しく考えることはありません。お客様には、あらかじめ垣根を設けずに、ご自分の舌で、自由な発想で、相性の良い商品や楽しみかたを見つけていただきたいと思います。 そのあとで、金鵄盃酒造の酒が「究極の一本」と言っていただけるよう、社員ともども精進してまいります。」

所在地 新潟県五泉市本田屋863(事務所)
TEL 0250-58-7125
FAX 0250-58-8441
代表者 茂野 知行
営業時間 午前 8時30分 ~ 午後4時30分
定休日 土・日・祝日
自社WEBサイト http://www.kinshihai.com/
販売商品 越後杜氏/村松/帛乙女(きぬおとめ)/雪影
店舗での商品購入 可 (事務所)
蔵見学 不可
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