笹祝酒造のある新潟市西蒲区松野尾(旧松野尾村)は、旧北国街道の交通の要所となっていました。当時、ここでは茶屋が何軒かあり、初代蔵元・笹口岱作(ささぐちたいさく)の妻マカも“おマカ茶屋”を経営。茶屋ではお酒が飛ぶように売れていたとのこと。そこで宮大工をしており、酒造技術も取得していた岱作は、酒造りを始めました。これが、笹祝酒造の始まりと言われています。 岱作夫婦は子宝に恵まれず、二代目友作を養子に迎えました。 商売熱心であった友作は、若きより酒造業に打ち込む他、味噌・醤油、漬物の製造など、幅広く商いを行い、今の笹祝酒造の基礎を作り上げました。 三代目・浩一郎は、新潟県酒造組合の理事や巻支部長などをするなど、地域のまとめ役であった。だが50歳で早世した為、四代目として妻のナカが社長に就任し、永年に渡り会社発展の為に貢献して来ました。
五代目蔵元・笹口孝明は、大学を卒業後すぐに家業に入り、専務取締役に就任。その後、地元巻町で原発建設問題が再浮上。地域に根差した蔵元である笹祝酒造として先頭に立ち、住民投票運動を起し「巻原発・住民投票を実行する会」の代表となりました。その後、地域の住民から推され、町長として就任。全国初の「住民投票」を実施しました。2期の任期中に巻原発開発中止を見届けてから平成16年1月、巻町長を退任し、笹祝酒造の社長としてこの業界に戻られました。
「ササを一献」などと、「笹」は日本酒の別称であり、蔵元・笹口家の名にもちなみ、「笹祝」の名称が生まれました。創業時代は「笹祝」の他に、「瑞気正宗」「天朗」「越の松」「笹の香」等の銘柄で、地元中心に販売をしていました。
笹祝酒造では、毎年より向上した酒造りを行ってゆきたい。その気持ちを元に、どの製品にも製品イメージを設定し、目標を持って酒造りを行っていらっしゃいます。
昔は杜氏が高度な技術と情報を持っていました。笹口社長「杜氏がいい酒を作る。経営者はいい設備といい材料を用意する。 いい酒が出来れば「いい酒を造ってくれたね」と労う。昔はどこの蔵でもそういう構図でした。今は食生活も変わり、飲む人たちの要望も変わって来ている。これまでは『杜氏さん、いいお酒を造って下さいね』でよかったが、今では市場を知っている経営者が『こういった酒を造ってくれ』と、杜氏に要望を出し、その為の設備や材料を用意する…そういった構図に変わって来ています。」 杜氏に要望するときに笹口社長が大切にしているのは「イメージ」。 たとえば「竹林爽風」は、竹林の中をさわやかに吹き抜けるイメージからお酒造りの構想を練られたという。 笹口社長は「これからさわやかな風がくる…それを香りで表現し、竹林の中で一陣舞う風の爽やかさを、酒米「亀の尾」で、懐かしい味わいを酒米「雪の精」で表現し、風が去って静かになった様子を、お酒の切れ味で表現。全体的に爽やかなお酒になるようにと杜氏に要望します。」
「おたくのお酒、変わったね」 地域の9割以上の方たちに愛飲されている笹祝のお酒は、地元の料理に合うように造られています。 笹口社長「お客様から『おたくのお酒、甘いね』と言われてもダメだし、『辛いね』と言われてもダメ。そしてよく頂く言葉が『おたくの酒、いい風に変わったね』 と。毎年変わらない酒を造りますが、でも少しずつレベルUPさせています。常に地元の動向をみながら、甘辛、薄い、濃い…お酒のレベルを決めていく、 それが一番地元に愛着されていく、お酒の条件です。お客様に合わせつつ、地域の味文化の担い手の自覚を持って作っています。」
所在地 | 新潟県新潟市西蒲区松野尾3249 |
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TEL | 0256-72-3982 |
FAX | 0256-72-3986 |
代表者 | 笹口孝明 |
営業時間 | 午前 8時30分 ~ 午後5時 |
定休日 | 日曜日・祭日・土曜日不定休 |
自社WEBサイト | http://www.sasaiwai.com/ |
販売商品 | 笹祝、竹林爽風、瑞気 |
店舗での商品購入 | 可能 |
蔵見学 | 特別の場合のみ対応 |