細菌の一種であるコウジキンを米や麦などに生やすことで、米麹や麦麹となります。これらの麹を食材と混ぜることで、発酵食品がつくられます。そこで気になるのが、菌やカビの一種であるにも関わらず、麹にも賞味期限があるということです。
まず、消費期限と賞味期限の違いについて考えてみましょう。定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められている期限を示す年月日。これが消費期限です。つまり、期限を過ぎてしまうと人体や健康に害を及ぼす可能性があるということです。
一方、賞味期限は、定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日のことをいいます。期限を超えていたとしても、品質自体は保持されているのが賞味期限なのです。
この期限を過ぎたからといって、腐敗するというものではなく、味や香りなどが変わってしまうだけで、人体に被害を及ぼす可能性は極めて少ないと考えられています。
麹にあるのは賞味期限です。しかし、麹そのものを食すという人はほとんど居ないでしょう。大概は味噌などの調味料、甘酒などのお酒を自分で作る際、麹を使うかと思います。
賞味期限が過ぎた麹は腐敗していないものの、風味や香りが劣化していたり、期間によっては菌そのものが壊死している場合もあります。使いものにならないというものではありませんが、保存方法と保管場所を考え、菌が生きた状態の麹を使用することをおすすめします。
麹には生麹と乾燥麹の二種類があり、それぞれ保存方法や保管場所が違います。加熱乾燥処理を行なっていない生麹の場合から説明していきましょう。
生麹の特徴は、デンプンを糖などに変える力が強く、水に戻さずにそのまま使用することが出来ます。麹本来のパワーが十分に発揮されるため、本格的な味噌や甘酒を作りたいのであれば、生麹が最適でしょう。
しかし、なまものであることから品質の劣化が激しいのがデメリットです。たとえ冬場であっても常温での保存はさけ、冷蔵庫に入れておきましょう。約20日前後は保存可能です。冷凍庫ならば3ヶ月程度の長期保存が出来ます。
生麹の保存期間を最大限に伸ばしたいのであれば、塩を混ぜて常温保存する方法もあります。約半年間は麹の品質を守りつつ保存することが出来ます。生麹に比べて麹本来のパワーは衰えてしまうものの、常温でも長期保存が可能なのが乾燥麹です。
仕込みの際、水に戻すなどの手間もかかってしまいますが、保存方法や保管場所を選ばず、手軽に麹を使用したいのであれば乾燥麹がおすすめです。生麹と乾燥麹、それぞれ異なる特徴を持ち、保存方法や保管場所も違います。これらのことを踏まえた上で、自分にあった麹を選ぶといいでしょう。